連載 運動療法に活かすための神経生理(学)・第4回
運動療法はどのようなメカニズムで関節疾患の痛みを軽減するのか?
坂本 淳哉
1,2
,
佐々木 遼
1,2
Junya SAKAMOTO
1,2
,
Ryo SASAKI
1,2
1長崎大学生命医科学域(保健学系)
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科理学療法学分野
pp.1147-1152
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203616
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
関節疾患は理学療法の診療場面で遭遇する頻度が高い運動器疾患であり,なかでも,変形性膝関節症(knee osteoarthritis,以下,膝OA)は罹患者数が多く,慢性疼痛の原因となる主要な疾患でもある.そのため,疼痛の病態解明が進められ,最近では膝OAを限局的な関節疾患としてではなく,神経系の感作・可塑的変化や神経免疫の異常,精神心理学的障害なども含めた全身性疾患として捉える必要性が提唱されており,包括的アプローチの重要性が示唆されている1).そして,世界各国のガイドラインでは運動療法と患者教育が膝OAの中核的治療(core treatment)に位置づけられており,すべての膝OA患者に対して実施することが推奨されている.
そこで,本稿では膝OAにおける主要な疼痛の病態(図1)とそれらに対する運動療法の効果について,生物学的ならびに神経生理学的側面から概説する.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.