連載 臨床研究のススメ—エビデンスを創ろう・第1回【新連載】
臨床研究の誕生
山科 俊輔
1
Shunsuke YAMASHINA
1
1平病院リハビリテーション部
pp.90-93
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202921
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はじめに
理学療法の臨床判断方法の1つにevidence based medicine(EBM)という考え方がある.EBMは“医療上の判断根拠を生物医学的知識/病態生理”や“経験豊富なエキスパートあるいは大学教授などの権威者の個人的な意見”よりも“臨床研究論文の結論”を重視し,目の前の対象者に最良の医療を提供することとされている1).
近年,米国では臨床研究を蓄積することにより,ガイドラインにおける理学療法の推奨度が高いものとなっている2).2021年に刷新された日本理学療法士協会監修の理学療法ガイドライン第2版の一部では,いくつかのステートメントにおいて,「理学療法により有意な改善がみられるが文献数が少なく判断できない3)」といった文言もある.今後,理学療法の治療水準を担保していくためにも,臨床研究の知見からガイドライン策定につなげていく必要がある.まさに,臨床家が臨床研究を実施していくことが必須の課題と言える.本稿では,臨床研究を着想する際のポイントについて解説する.
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