連載 おニューな地球人・21
誕生パワー
きくち さかえ
pp.4
発行日 1994年1月25日
Published Date 1994/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900938
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ひとりの人間が,自分の家で生まれる。ひとりの女性が,自分の家で出産する。見慣れた部屋。耳慣れた声。いつもの匂い。母と父が愛し合った布団で,赤ちゃんは産声を上げる。
人間が,病院という世間から隔離された環境の中で生まれ,死んでいくようになってから,半世紀ほど。私たちは科学信仰の現代社会の中で,生まれることや老いていくこと,死ぬことを科学にゆだねてきた。自分の体のことなのに,自分自身より科学のほうがよく知っている。そんな錯覚があるからだ。でも,人間ってそんなに柔(やわ)だろうか。自然は科学で証明できてしまうほど,単純なんだろうか。
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