特集 パーキンソン病の最新知見と効果的な理学療法
Topics
パーキンソン病の嚥下障害と理学療法
内田 学
1
Manabu UCHIDA
1
1東京医療学院大学保健医療学部
キーワード:
姿勢調節
,
嚥下障害
,
呼吸機能
Keyword:
姿勢調節
,
嚥下障害
,
呼吸機能
pp.1218-1221
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202485
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はじめに
パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)の嚥下障害の特徴はPD患者の50〜90%に存在し1),罹病期間とも相関せず2),Hoehn and Yahr重症度分類などの運動症状と必ずしも関連しない3).自覚症状も少なくsilent aspirationが多いことが報告されている4).そのため,体重減少や肺炎,脱水の発症により初めて摂食嚥下障害が発見されることがある5).
PDの平均寿命は,一般の高齢者と比して差は認めず天寿を全うする病気と認識されているが,PDの死因として多くを占めているのは誤嚥性肺炎と窒息である6).疾患特有の身体症状に対しては多くのリハビリテーションが展開されており一定の効果を示している.しかし,死因に直結する摂食・嚥下機能に対する介入に関してはチーム医療の体制が形成されていない施設が多い.PDにおける摂食・嚥下障害は,口腔顔面に限局したものではなく,疾患の進行に伴い変容する全身の構造的変化・呼吸機能障害に付随して障害が出現するものである.したがって,われわれも摂食・嚥下障害をoutcomeにした嚥下理学療法としての役割を明確に示す必要がある.
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