連載 とびら
“つながり”がもたらす素敵な未来
櫻井 健太郎
1
1仙台東脳神経外科病院
pp.611
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202325
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2020年は新型コロナウイルス感染症により世界が未曽有の事態に陥った1年でした.緊急事態宣言による外出自粛,小学校休校など,勤務調整で慌ただしかったことを思い出します.医療機関や施設では面会制限が余儀なくされ,愛しい人との面会も叶わない現状でした.臨床実習の受け入れ中止により,実務負担が減った半面,若く新たな感性に触れることもなく寂しさを感じたものでした.実習地訪問にいらっしゃる先生方との久々の再会も叶うこともなく,より一層寂しい思いに駆られました.いつもどおりの日常は,いつの間にかそうではなくなり,窮屈な感覚に陥ったのは私だけではないと思います.
一年前の日常を思い起こすと,変わりなく過ぎていく当たり前の日常を慈しむことができるようにもなりました.そして2021年はどんな年になるだろうと考えながら,仕事始めを迎えました.スタッフルームで一息ついていたら,これまで目にしたことのない執筆依頼在中と書かれた自分宛の郵便物が届きました.医学書院からの手書きの文字は,自分の名前までも,いつもと違っても見えました.“なぜ私???”と頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになりました.お引き受けすることを前提に,担当者に確認すると,大変お世話になっている大好きな養成校の先生からの推薦をいただいたとのことに,身に余る喜びと感謝の気持ちが込み上げてきました.今回のことも含め,人との出会いの不思議さ,そして離れていても,見えないところでのご縁のつながりのありがたさをつくづく感じました.
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