Japanese
English
症例報告
外傷性肩鎖関節脱臼(Rockwood分類type Ⅳ)術後症例の治療経験—軟部組織の修復過程を考慮した理学療法
Therapeutic experience of Rockwood type Ⅳ acute acromio-clavicular joint dislocation post-operative:case report: physical therapy considering the repairing process of the soft tissue
和田 満成
1
,
松本 正知
1
,
小牧 亮介
2
,
赤尾 和則
1
,
熊谷 匡晃
3
,
渥美 覚
4
,
松田 理
5
Mitsunari WADA
1
,
Masatomo MATSUMOTO
1
,
Ryosuke KOMAKI
2
,
Kazunori AKAO
1
,
Tadaaki KUMAGAI
3
,
Satoru ATSUMI
4
,
Toru MATSUDA
5
1桑名市総合医療センターリハビリテーション科
2第一なるみ病院リハビリテーション科
3三重厚生連松阪中央総合病院リハビリテーションセンター
4京都鞍馬口医療センター整形外科
5桑名市総合医療センター整形外科
キーワード:
肩鎖関節脱臼
,
Rookwood分類type Ⅳ
,
軟部組織損傷
Keyword:
肩鎖関節脱臼
,
Rookwood分類type Ⅳ
,
軟部組織損傷
pp.236-241
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201817
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要旨 肩鎖関節脱臼のなかでもまれなRockwood分類type Ⅳの術後理学療法を経験した.術中所見から損傷組織を確認し,修復組織を保護しつつ可動域と筋力を再獲得するために実施した理学療法について,その経過と理論的背景を交え報告する.症例は60歳台の男性で,交通事故にて右肩鎖関節脱臼を受傷した.手術はCadenat変法にて施行された.損傷組織は三角筋鎖骨部線維,僧帽筋肩鎖関節付着部線維,肩鎖靱帯,烏口鎖骨靱帯でありそれぞれ縫合された.理学療法は術後1週から肩鎖関節の保護と肩甲上腕関節の可動域維持を目的に,肩甲骨と鎖骨を固定し肩甲上腕関節にて屈曲90°までの可動域練習を開始した.結帯動作は縫合された三角筋鎖骨部線維を離開させる可能性があるため,修復過程を考慮し術後6週からとした.術後8週で結帯動作に若干の制限が残ったが,挙上動作に左右差はなくなった.肩甲上腕関節の可動域の維持と,損傷された組織を理解し同部の修復過程を考慮した理学療法により得られた結果と思われた.特に,軟部組織の損傷が激しいと予測されるRockwood分類Type Ⅴ・Ⅵでは,このような考え方は重要ではないかとも考えられた.
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