1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?
トラス構造とウィンドラス機構
相馬 正之
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1東北福祉大学健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
pp.815
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201634
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多数の短骨,関節および靱帯から構成される足部は,複合的な運動を可能とし,後足部,中足部,前足部に可動性をもつ.ヒトの足部には,内側縦アーチ,外側縦アーチおよび横アーチの3つのアーチ構造が存在する.このアーチ構造には,トラス構造およびウィンドラス機構が備わっており,その作用には足底腱膜が重要な役割を果たしている.アーチ構造の保持には,静的な状態では筋活動を認めないが,動的な状態では足部外在筋や足部内在筋などが積極的に関与する.
トラス構造とは,足部が荷重を受けると足底腱膜が遠心性に伸張することで,アーチを低下させる現象である(図a).“トラス”とは,建築用語であり,構成される三角形を単位とした骨組構造の1つである.足部におけるトラス構造とは,アーチを構成する伸縮しない底辺以外の2辺を構成する骨,関節,靱帯と伸縮する足底腱膜が底辺の三角形を指す.この構造は,歩行周期における立脚初期の踵接地から立脚中期にかけ作用し,足部接地時の衝撃緩和や立脚中期の合理的な荷重の分散と吸収を担っている.立脚中期では,距骨下関節および横足根関節(ショパール関節)が回内(外がえし)し,足根中足関節(リスフラン関節)が背屈するため,この運動連鎖によって足底腱膜はさらに伸張され,トラス構造の重要な役割である衝撃吸収を最大限に発揮することを可能にしている.
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