人と業績・5
エドウィン・チャドウィック(1800-1890年)
小栗 史朗
1
1名古屋市千種保健所
pp.800-801
発行日 1980年11月15日
Published Date 1980/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206195
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今日の公衆衛生は,19世紀中葉において,資本主義の最先端に立ってその矛盾が最も激烈に現われた英国で,その解決のため着手された環境衛生革改運動に始まる.その運動の組織者であったチャドウィック(Chadwick, Edwin)は,公衆衛生創設者としての金字塔を遺した.
彼の功績は,当時猖獗したコレラなどの諸伝染病の蔓延をおさえて死亡率を減らし,平均寿命を大幅に伸長させたことのみでなく,健康を侵され子供は殺され,悲惨な生活を甘受せざるをえないとした当時の労働者大衆の「ぬくべからざる運命主義を,物理的環境の社会科学的コントロールによって変換,改善しうるという新しい信念におきかえた」(ウィンズロー)ところにある.
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