最近の検査技術
リムラステスト
水野 章
1,2
,
由良 二郎
1
,
柴田 清人
3,4
1名古屋市立大学第1外科
2多治見市民病院外科
3名古屋市立大学
4多治見市民病院
pp.167-171
発行日 1979年2月1日
Published Date 1979/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201790
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近年グラム陰性杆菌感染症が各科領域において増加し,特に小児,老人,免疫抑制剤投与中あるいは放射線治療中の患者のグラム陰性杆菌重症感染症は病態も重篤で予後も極めて悪いことは周知の事実となっている.これは感染症治療に貢献していたはずの強力な抗生物質の開発普及に伴う薬剤非感受性グラム陰性杆菌による菌交代症,手術手技の進歩に伴う過大な手術侵襲あるいは制癌剤投与などに対する相対的生体抵抗力の低下が考えられるが,更にグラム陰性杆菌の細胞壁構成成分であるエンドトキシンの関与が多大な影響を及ぼしていることが明らかとなってきた.
エンドトキシン血症(以下エンドトキセミアと称す)は1950年ごろより注目されてきたが,流血中のエンドトキシンを証明する適切な方法がなかったため,それは菌血症と一括して敗血症として扱われてきた.かつては鶏胚試験,エピネフリン皮膚試験1)が用いられたが,いずれも反応の特異性,検出精度に問題を残し,簡便でないことが臨床検査として不向きであった.1970年Levinらによって発見,研究されたリムラス(Limulus)法は非常に鋭敏で簡便なバイオアッセイ法として認められ,以後,クロット蛋白定量法,ラジオイムノアッセイ法なども開発されたが,これらのうち最も信頼できる検査法として今日の臨床的応用に役立っている.
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