書評
—樋口貴広(著)—「研究的思考法—想いを伝える技術」
建内 宏重
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1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻予防理学療法学講座
pp.479
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201541
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本書の著者である樋口氏は,心理学・認知科学領域の第一線で活躍する研究者であるとともに,大学院で多くのセラピストを指導してきた経験をもつ.また,個人的には,私は過去に樋口氏と共著で書籍を執筆した経験があり,その際に,どのような構成,文章にすれば相手(読者)にわかりやすく正確に情報を伝えることができるか,その知識・技術を多く教わった.そのような樋口氏が,「研究領域において実践される作法に沿って,自分の考えを整理し,他者に伝わる形式で表現するための一連の思考プロセス」である研究的思考法をまとめたのが本書である.
私は本書をすべてのセラピスト(およびその卵である学生)にお薦めする.本書には,学術論文を執筆する必要がある人だけではなく,文献を速く読み効率的に情報収集をしたい人,学会や勉強会でのスライド作成やプレゼンテーションが上手になりたい人,学生や後輩のレポート・論文の指導をしなければならない人など,言わばあらゆるセラピストが経験するであろう活動に関するコツが,随所に惜しげもなく散りばめられているからである.
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