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書評 —地神裕史,斉藤秀之(編集)—「上肢の理学療法—局所機能と全身運動を結びつけるインタラクティブ・アプローチ」
大西 秀明
1
1新潟医療福祉大学医療技術学部
pp.55
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200763
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本書は数多くある理学療法関連書籍の中でも,上肢機能に対する理学療法に特化したものであり,「神経生理学(第1章,21頁)」「上肢の機能解剖学(第2章,21頁)」「上肢の徒手検査法(第3章,42頁)」「上肢機能評価に活かす脳画像の読み方(第4章,15頁)」「各疾患への理学療法アプローチ(第5章,251頁)」の全5章から構成されている.
本書の特徴の一つは,各疾患に対する理学療法アプローチの前段として,100頁強の紙面を割いて,上肢機能を適切に評価・治療するために必要な「神経生理学」や「機能解剖学」,「基本的な徒手検査手法」などが丁寧に記載されているところである.また,「上肢機能評価に活かすため脳画像の読み方」は他の関連書籍ではみない特徴的な章である.二つ目の特徴は,「各疾患への理学療法アプローチ」において整形外科疾患(10疾患)だけでなく,中枢神経疾患(5疾患)や末梢神経疾患(5疾患)の上肢機能に対する理学療法も含まれていることである.本書のタイトルから整形外科疾患に対する理学療法をイメージしたが,脳卒中片麻痺やパーキンソン症候群等に対する理学療法など,幅広く上肢機能障害に対する理学療法が掲載されている点も嬉しいところである.三つ目の特徴は,検査・治療場面の写真や,わかりやすいイラスト,X線写真などが数多く盛り込まれている点である.文字だけではイメージできない各種検査法や,画像診断に欠かせないX線写真の特徴など,理学療法を遂行するためには欠かせない情報が網羅されている.
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