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経緯
わが国においては1965年に「理学療法士及び作業療法士法」が制定されてから,半世紀を迎えた.理学療法領域の教育,臨床そして研究活動は時代の流れに影響を受けながら成長してきた.しかし,理学療法士養成人数,理学療法士数,学会演題数や理学療法士による論文数など,単に量的な成長だけではなく質的にも分化,統合をしながら発達してきている.本来であれば,半世紀を総括して展望を提示し,批判を仰がなければならないが,力不足のためこの領域全体にわたる研究活動の歩みを提示することが叶わなかった(日本における理学療法士誕生からの理学療法と研究活動についての一部を記載してある)1,2).そこで,これまで自身が研究活動の一部を担ってきたこと,また教育および臨床にもかかわってきたなかで問題と感じた事柄のいくつかを提示することで任を果たしてみたい.
さて,日本における理学療法に関する法律(1965年)で,「理学療法」とは「身体に障害のある者に対し,主としてその基本的動作能力の回復を図るため,治療体操その他の運動を行なわせ,及び電気刺激,マッサージ,温熱その他の物理的手段を加えることをいう」(1965年理学療法士及び作業療法士法法律137号第二条)と定められている.この法文をもとにしながら理学療法の対象,方法,そして目的についてみていきたい.法文による理学療法とは,(a)その対象となる者は,身体に障害のある者であり,(b)その主な目的は,対象となる者の基本的動作能力の回復を図ることであり,(c)そのために用いられる手段は,対象となる者に治療体操その他の運動を行わせ,および電気刺激,マッサージ,温熱その他の物理的手段を加えることであるとしている.
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