特集 理学療法士界における継往開来
日本理学療法士協会の組織活動における継往開来
日下 隆一
1
Ryuichi Kusaka
1
1佛教大学保健医療技術学部理学療法学科
キーワード:
自律性
,
組織文化
,
アイデンティティ
,
法制度
,
社会的承認
Keyword:
自律性
,
組織文化
,
アイデンティティ
,
法制度
,
社会的承認
pp.1099-1104
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200407
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はじめに
組織の命題は,いかに効果的に組織を機能させ目標を達成するかにあり,そのための諸活動は組織行動,組織過程と呼ばれている.この組織行動には,「組織図に表される組織の骨組み,組織を動かすためのルールや規範であるシステム,人材配置」1)といった組織構造が不可欠であり,組織は組織行動と組織構造から成り立っている.この組織の進むべき方向性と目標達成の方法は「戦略」と称されることもある.このような組織に関する考え方は多様であるが,「組織特性は環境に依存する」「組織は能動的に環境に働きかけて適応する」といった環境と組織に関する考え方2,3)は,日本理学療法士協会(以下,協会)の組織活動を理解,説明するのに適している.この場合,環境は問題・問題点と称される場合もあり,協会は内外の環境とその変化,すなわち問題・問題点に相応して特徴的な組織構造や組織行動を選択してきたのであり,特別委員会の設置やマスタープランの作成等はその代表的な対応といえる.
協会は発足以来,内外の多様な環境に対応してきた.それは,新生専門職4),新生組織に起因する諸問題に始まり,医学の発達,疾病構造の変化,理学療法(士)を取り巻く法もしくは制度(以下,法制度)の施行や改定,医療や介護さらには健康に対する国民意識の向上,急増する理学療法士数,高騰する医療費問題等々への対応であり,それらは組織行動すなわち組織活動に他ならない.このような過去から現在に至る組織活動を考察することは,今後の協会の組織活動のあり方を考えるうえで役立つかもしれない.
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