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書評 —野村卓生(著)—「糖尿病治療における理学療法—戦略と実践」
市橋 則明
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1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
pp.861
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200328
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糖尿病の理学療法と聞くと,私が理学療法士になった1年目に,ドクターから糖尿病の運動療法をできないかと言われ,困ったことを思い出す.当時は一人職場で相談する先輩もおらず,糖尿病に関する理学療法の書籍もなく,摂取カロリーと運動によるカロリーを計算し,運動量を決めることぐらいしかできなかった記憶がある.当時から糖尿病の運動療法の必要性は言われていたが,まだ糖尿病に対する理学療法士の関心は低かった.
30年後の現在,日本糖尿病理学療法学会の登録人数(2015年4月1日現在)は3,015人であり,多くの運動器疾患にかかわる日本運動器理学療法学会が6,410人であることを考えると非常に多くの理学療法士が糖尿病の理学療法に関心を持っていることがわかる.理学療法士が担当する患者のなかには合併症として糖尿病を有する者が非常に多い.また,近年糖尿病教室なども盛んに行われるようになっており,チーム医療のなかで理学療法士の参加は必要となっている.一方で,糖尿病の理学療法の教育に関しては,内部疾患の一つとしてリスク管理などの観点で学ぶ機会はあるものの,教科書の一つの章にまとめられていることがほとんどである.
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