特集 子どものコモンな微徴候・微症状
整形外科
42.姿勢が悪い
柳田 晴久
1
1福岡市立こども病院整形・脊椎外科
キーワード:
脊柱側弯症
,
構築性側弯症
,
機能性側弯症
,
円背
,
Scheuermann病
Keyword:
脊柱側弯症
,
構築性側弯症
,
機能性側弯症
,
円背
,
Scheuermann病
pp.1207-1212
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001904
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小児の「姿勢が悪い」というのは比較的よくある訴えである.ほとんどが保護者からの訴えであり,本人の自覚は乏しい.姿勢が悪い原因のほとんどは脊柱変形である.脊柱は本来前後方からみれば真っすぐであり,側方からみれば生理的アライメント(頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯)をもつが,これらに変化を生じると脊柱変形とよばれ,結果として姿勢異常を呈するようになる.代表的な脊柱変形として円背と側弯症が挙げられる.円背はいわゆる猫背(胸椎の後弯増強)であり,程度の強いものは胸椎椎体の成長障害により生じるものでScheuermann病(ショイエルマン病,図1)とよばれるが本邦での発症率は低い.臨床で圧倒的に多く遭遇するのは思春期特発性側弯症に代表される脊柱側弯症である.脊柱側弯症では進行の程度には個人差があり,まったく治療を要さないものから高度に進行し手術を要するものまである.側弯症は初期には自覚症状に乏しいが進行すると姿勢の問題以外にも背部痛・呼吸機能障害・消化管機能障害などの原因となるため,早期発見・早期治療が大切である.このため学校健診(運動器検診)で側弯症のチェックもなされているが,小児科医は日常診療においても胸部や腹部の単純X線で偶然側弯症に遭遇する機会も多いであろう.本稿では小児科医が姿勢異常をみる場合のポイントについて概説する.
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