特集 脊椎・脊髄疾患と理学療法
頸椎・頸髄疾患と理学療法
小俣 純一
1
,
伊藤 俊一
1,2
,
岩渕 真澄
3
,
白土 修
3
Junichi Omata
1
1福島県立医科大学会津医療センターリハビリテーション部
2北海道千歳リハビリテーション学院
3福島県立医科大学会津医療センター整形外科・脊椎外科学講座
キーワード:
頸椎・頸髄疾患
,
頸部痛
,
ストレッチング
Keyword:
頸椎・頸髄疾患
,
頸部痛
,
ストレッチング
pp.1017-1024
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200033
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はじめに
頸椎・頸髄疾患は,高齢化が進むにつれて増加することが予測される疾病の一つであり,われわれが臨床現場で治療にあたる機会も増えている.頸椎・頸髄疾患による脊髄症状や神経根症状は,日常生活に大きな影響を与えることもあり,重篤な脊髄症状や神経根症状がある場合に手術療法が適応となる.また,頸部疾患で頸部痛・肩こりといった疼痛を訴える患者も多く,異常姿勢を来すこともあることから,ストレッチングなどによる疼痛軽減を目的としたアプローチも必要となる.
頸部痛・肩こりは厚生労働省国民生活基礎調査において,有訴率が男性では1位の腰痛に続いて2位,女性では1位であり,多くの者を悩ます疾病の一つである.有訴率1位である腰痛に対する腰背筋のリラクセーションと疼痛の除去に対するストレッチングの効果は2005年のコクランシステマティックレビュー1)をはじめ多くの報告がなされている2,3).さらに,膝関節や足関節に関するストレッチングの効果についても多数の報告がある4〜6).しかし,頸部痛に対するストレッチングの臨床的効果について検証した報告は少なく7,8),一定の見解は得られていない.
本稿では,頸椎・頸髄疾患についての概要,評価,また頸部痛に対するストレッチングの効果について述べる.
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