理学療法臨床のコツ・42
弾性包帯の活用のコツ―整形外科編・断端の巻き方
原 和彦
1
Kazuhiko Hara
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部理学療法学科
pp.850-852
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106759
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断端管理法
術後,断端術創部の軟部組織には浮腫を生じる.この生体反応は創部修復過程に生じる機序であり,術後ある程度の浮腫は避けられない.しかし,浮腫による組織圧迫は軟部組織の修復に必要な栄養血流を阻害することになる.このため浮腫を防ぐことは血流改善につながる.これら断端成熟の促進をめざした断端の衛生,感染予防,血流確保,浮腫予防を行うさまざまな医学的管理を総称して断端管理という.
この断端管理法には,① soft dressing,② rigid dressing,③ semi-rigid dressingの3つが紹介されている1).Rigid dressingは術後ギブスソケットを使用して断端管理する術直後義肢装着法である.しかし,断端にギプスを装着した状態では断端皮膚の状況をチェックすることが難しく,循環障害による切断には循環障害の程度をチェックしにくいなどの欠点がある.近年,弾性包帯法に替わってシリコンライナー自体の弾性特性を利用して,術後からライナーを断端に装着した圧迫法が多く採用されている2).ライナーは材料費を無駄にせずに術後から仮義足装着まで移行できるサイズを選ぶことが多い.装着はロールアップ方式にて行うが,術後の浮腫が強い場合にはライナーの装着が難しいこともある.通常,断端末から40mm上の周径値でライナーのサイズを注文するが,それより20~30mm小さなサイズのライナーを圧迫法で用いてそのまま仮義足用ライナーとして活用する.
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