講座 子供の理学療法・1【新連載】
小児メタボリックシンドローム
岡田 知雄
1
Tomoo Okada
1
1日本大学医学部小児科学系小児科学分野
キーワード:
運動不足
,
内臓脂肪蓄積
,
幼児肥満
,
小児の生活習慣病外来
Keyword:
運動不足
,
内臓脂肪蓄積
,
幼児肥満
,
小児の生活習慣病外来
pp.457-461
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106643
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はじめに
メタボリックシンドローム(metabolic syndrome:MetS)の成因には,運動不足と栄養過多が関係していることが,2005年における成人のMetS診断基準を発表した日本内科学会雑誌にも記載されている1).また,2004年国民健康・栄養調査の成績で,40歳以上の日本人男性の半数以上が,腹囲85cmを超えて,1項目以上の代謝異常(または高血圧)を有するMetSないしはMetS予備群となっている.このうちの大部分は,就労後の運動不足と食習慣の乱れが原因となって,このような状態に至っていることが明らかにされている.
わが国の小児におけるMetSの成因については,まだ十分に解明されているとは言えない.英国の小児肥満外来における調査では,低出生体重児と糖尿病の家族歴が有意にMetSの因子として関連していたことが報告されている2).肥満の程度が高度であるからといって,必ずしもMetSとならないことは,われわれも日ごろ実感するところである.われわれの健常児を対象とした調査3)では,MetSの前提となる腹囲の基準が,日常における運動習慣のなさと関連していた.
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