特集 発達障害児の理学療法と生活指導
発達障害児の理解と生活指導
市川 宏伸
1
Hironobu Ichikawa
1
1東京都立小児総合医療センター
キーワード:
発達障害者支援法
,
特別支援教育
,
発達障害者支援センター
Keyword:
発達障害者支援法
,
特別支援教育
,
発達障害者支援センター
pp.93-99
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106544
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はじめに
発達障害という言葉はよく知られるようになったが,発達障害が十分に理解され,適切な支援が行われるようになったとは言いがたい.「発達上に問題があるのが発達障害である」というのは俗説であり,正しくは発達障害者支援法のなかで定義されている.法律には,「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と記述されている.医学的な診断に基づいており,通達のなかでは,後述するInternational Classification of Diseases(ICD)-10に基づいて,「F8およびF9に該当するもの」とされている.
発達障害は子育てなどの環境因のみが原因で生じるものではなく,何らかの脳機能障害の存在が前提である.脳機能障害の本質についての研究は途上であり,十分には解明されていない.現在の医療における考え方では,「発達障害はなくさなければならないものではなく,一つの特性とみることもできるもの」であり,その存在により,当事者が社会生活上の困難さを感じたり,生きにくさを感じたりしたときのみ,何らかの支援が必要となる.
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