1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?
サルコペニア,Frailty
島田 裕之
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1国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター自立支援開発研究部自立支援システム開発室
pp.57
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106525
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●サルコペニアの操作的定義
高齢期における骨格筋の萎縮と,それに伴う筋力低下を表す造語であるサルコペニアは,概念としては古くから存在する.初期には筋量を計測し,一定以上の減少をサルコペニアと定義してきた.最も広く用いられている定義は,二重X線エネルギー吸収法から得られた四肢の筋量の合計を身長(m)の2乗で除したskeletal muscle mass index(SMI)を指標としたものである.サルコペニアの定義は,成人(18~40歳)におけるSMIの平均から2標準偏差以下に達した場合とされた.この操作的定義に基づくサルコペニアの有症率は,70歳以下において13~24%,80歳以上では50%以上とされた1).
また,近年サルコペニアの国際的な合意形成を目的としてthe European Working Group on Sarcopenia in Older Peopleによるサルコペニアの操作的定義が発表された.従来の骨格筋量による定義のみでなく,筋力と歩行速度がサルコペニアの構成要素として含められた.しかし,運動機能をサルコペニアの定義に含めると,frailtyと同じような定義となってしまう.地域在住高齢者4,800名を対象に,歩行速度を含めた基準と,含めない基準とでサルコペニアと判定された者の合致率は98%であり,サルコペニアの基準に歩行速度を含めるかどうかは慎重な判断が必要であろう.筋量と筋力からサルコペニアを判定し,歩行速度によって介入の必要性を判断する思考過程が,治療の選択をするために重要であると考えられる(図).
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