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1.はじめに
パーソナル・コンピュータ(パソコン)や周辺機器,およびインターネットなどの通信システムの技術革新により,我々はパソコンを使い,文字・図形・絵のみでなく,写真・動画・音響といったマルチメディア(多表現媒体)により記録し表現することが日常的なことになった.更に,21世紀の知的社会は,アナログ社会からデジタル社会へのパラダイムシフトであるといわれているように,通信と放送は融合され,テレワーク,テレヘルス,遠隔教育システムとパソコンはより多面的に利用されるようになった.このような時代のニーズのなかで,とりわけ我々の身近な媒体である映像情報(静止画像と動画)を取り上げ,その知識と活用法を述べることがこの入門講座の目的である.
マルチメディアには,デジタル化およびインタラクティブ(対話)の2つの特性がある.デジタル化することで,従来バラバラに扱われてきた映像・文字・音声(見る・読む・聞く)という表現媒体は同時に扱われ,利用者はパソコンを介して情報と対話(インタラクティブ)できるということだ.
デジタル化の利点は,保存,コピー&ペースト(複製と貼付),交換,検索,再生などが簡単に行えることである.このことから,我々の情報表現は飛躍的に豊かになった.それは,学会・講演などで,パソコンにより液晶プロジェクターを通してプレゼンテーションをする場面で,文字・表・グラフだけでなく静止画像や動画が使われるようになっていることでもわかる.入力装置であるデジタルカメラやデジタルビデオの出現,キャプチャー(取り込み)機能を標準装備しているパソコンの製品化,Windows Millennium Edition(Windows Me)では動画編集ソフト「Windows Movie Maker」が標準装備されていることをみても,ハード・ソフトともに環境が整ってきたことを改めて感じさせる.
このように,静止画像のみならず動画までもが,我々がパソコン上で扱えるほど身近なものになっているが,この活用法を解説した文献はまだ少ない.そこで,今回筆者の臨床応用例を紹介しながら,デジタルカメラやビデオカメラによる映像,インターネット上の静止画像,動画,その他画像処理の仕方や実際の活用法について述べていくことになった.なお,この入門講座は,Windowsを利用しているパソコン入門クラスの読者を対象にしている.
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