特集 早期理学療法―そのリスクと効果
早期理学療法―筋力低下へのアプローチ
山﨑 裕司
1
Yamasaki Hiroshi
1
1聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
pp.603-609
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105615
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
歩行などの粗大動作を維持するためには,ある程度の下肢筋力が必要なことが明らかとなっており1-4),加齢や廃用性変化による筋力の減衰が高齢者の動作能力低下や転倒の原因となる可能性は高い.一方,加齢や廃用による筋力低下は大きく変化させ得る体力要素であり,この点から筋力低下へのアプローチは理学療法のなかでも極めて重要なものである.
筋力を維持増強させるポイントは,廃用症候群の予防と筋力トレーニングであり,その方法は具体的,かつ明確である.しかし,離床や筋力トレーニングは,体力が低下した高齢者や障害者にとってかなりの苦痛を伴う労作であり,動機づけの問題から適切な処方やプログラムの継続ができない症例が少なくない.つまり,筋力低下に対するアプローチの主要な問題の1つは,「何を行うか」ではなく,「如何に行ってもらうか」にある.
そこで本稿では,筋力トレーニングの方法論よりもむしろ,実践に際しての意義づけや動機づけを如何に行うかという視点にたって,筋力低下へのアプローチを見直した.なお,誌面の都合上,高齢者の廃用性筋力低下を射程において解説した.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.