新人理学療法士へのメッセージ
新しいライフステージのはじまりへ
日下 隆一
1
1兵庫県立柏原病院リハビリテーション科
pp.290-291
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105534
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残雪の下に節分草が咲き始めたという記事を目にした.四季をそれぞれに分ける日を節分というが,その掌ほどの低い茎と幾重かの細葉に薄黄色や白い小さな花をいだく節分草は,立春の頃に咲く多年草の草花で,古来より日本人はこの立春の前日を特別な季節の変わり目とし,1年の境と考えていたようである.まさに春に芽生え,冬枯れる一年草の如く,一年が春に始まり冬に終わるという概念は,私たちの遺伝子の中に強く息づいている感がある.また,物事の区切りとしての節目も同様に,現代社会でも重要な事柄として取り扱われている.個人が生まれ,家族に育まれ,学校に通い,地域社会の中で言語や行動様式さらには価値規範といった文化を習得しながら,やがて地位や役割を獲得して社会の成員となっていくことが社会化であるが,この全過程であるライフサイクルは,幾つかの異なったライフステージから成り立っている.このライフステージの異質性を本人とそれを取り巻く家族,地域社会,所属する集団,組織などが相互に確認,理解するために行われるのが入学,卒業,成人,就職,結婚,還暦などといった通過儀礼である.
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