増刊号 発達障害の作業療法
第4章 事例
4 ライフステージに沿った支援
香山 明美
1
Akemi Kayama
1
1東北文化学園大学
pp.900-904
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201401
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はじめに
広汎性発達障害の方々へのOTによるかかわりは,幼児期,学齢期,成人期,高齢者等さまざまな時期にある.しかし,その方のライフステージの点からいえば,OTの所属機関の役割機能上,一時的で限定的なかかわりとなっているのが現状ではないかと思われる.筆者は単科精神科病院に長く勤務し,統合失調症の方を中心とした精神障害者への作業療法を実践してきたが,近年,広汎性発達障害の方への対応も増加してきている印象を受けている.精神科病院を訪れる広汎性発達障害の方々の特徴は,抗精神病薬を必要とするような二次障害が重い場合や,本人だけではなく,何らかの課題を抱え,家族全体に支援が必要な場合が少なくない.また,幼児期から健康診査等で保健師等の指導をはじめとする何らかの支援を受けている場合も多いが,継続的な支援ではなく,限定的なものになっていることが多いと思われる.
本稿では,これらの経験を踏まえ,事例を通して広汎性発達障害の方に対するライフステージごとの課題を整理し,作業療法のあり方を紹介する.加えて支援に継続性がもてることで可能となる点も考察する.
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