とびら
不透明な時代
田中 正則
1
1国立療養所再春荘病院リハビリテーション科
pp.225
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105275
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この3月に以前の勤務地の技師長が定年退官された.その方は,東京は神田で育ったちゃきちゃきの江戸っ子で,まさしく女傑というにふさわしく,私もやんちゃくれであったためよく叱られた記憶とともに,理学療法士協会の黎明期から活躍されてきた功労者の引退で,時代の移り変わりを感慨深く感じております.その方には,職場の部下として,社会人として,「常に公正であることの大切さ」をたたき込まれました.“公正”とは「広辞林」に,①かたよったり曲がったりしていないこと,②明白で正しいこと,と記述されており,特にかたよりがないというということの難しさを日常の診療場面や職場運営のなかで実感しております.診療業務に忙殺されるが故に,有形無形の患者とのトラブルに遭遇する機会が増えている今,個人,あるいは組織の対処の仕方が患者に適切であるか自分を含め考えさせられるときがあります.厚生省もこれからの医療は患者中心の医療と提言していますが,果して医療者と患者は公正な契約関係を結んでいるのでしょうか.
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