プログレス
筋収縮時のフラクタル特性―最大エントロピー法による周波数分析の意義
永田 晟
1
1早稲田大学人間科学部
pp.458-461
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105097
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
何らかの運動実施時には筋放電が現れ,筋線維(フィラメント)の滑走が起こっている.それが筋電図(electromyogram;EMG)であり,末梢部の電気信号として捉えられ,筋収縮力のレベル評価と診断に用いられている.筋電図は末梢の筋収縮機能の表出された生体信号として捉えられることが多く,運動単位(motor unit;MU)として評価される.しかし実際には,中枢神経系からの命令(motor drive;MD)が大きく関与して運動単位や筋電図を変動させている.
こうした中枢神経系の支配を非侵襲的な手法で見出すことがフラクタル(fractal)分析であり,生体信号の周期性,変動,ゆらぎ,複雑性,カオス(乱れ)を解明することにつながっている.本稿では,筋電図の最大エントロピー法(maximum entropy method;MEM)による周波数分析結果を高速フーリエ変換法(fast Fourier transform;FFT)と比較しながら,フラクタル的な成分の解析を中心に述べる.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.