とびら
“虫が付いてこそ本物のリンゴだ”
西岡 正明
1
1公立豊岡病院リハビリテーション科
pp.151
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104728
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これは20数年前に書かれた生物学者の日高敏隆氏の著書のなかの一説である.公害問題について生物学者からみた観点を表した言葉だが,様々な意味に発展させて考えを巡らすことができる.
形の綺麗なリンゴは皮に傷があったり形の崩れた物より商品価値があり,曲がったキュウリよりまっすぐなキュウリでなければ人は買い求めない.だが,これは生産過程で多くの農薬を使用し,その上ワックスで磨かれたものが完壁なものであると,また安心できるものと思い込んでいるからにすぎない.山林を伐採した跡に新しく植林すれば自然は回復されたと言うが,著者は畑を作ることも植林することもすべて自然破壊にほかならないとしている.なぜなら,そこで生きる生態系が変わってしまうからである.
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