報告
老人保健施設における動作能力・訓練目的別グループ訓練の効果
金澤 寿久
1
,
植松 光俊
2
,
宮本 千恵美
2
,
西田 宗幹
2
,
久保田 桂代
2
1丸茂病院理学診療室
2秋津鴻池病院リハビリテーション部
pp.58-62
発行日 1996年1月15日
Published Date 1996/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104465
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
わが国では老人保健施設(以下,老健施設)の入所者およびデイケア利用者100名に対して理学療法士または作業療法士(以下PT,OT)1名の常勤者をおくことが義務づけられている1,2).
しかし,現実的には利用者100名に対して1名のセラピストでは,運動療法を施行する場合,病院対応と同様の個別訓練形式では到底時間的に実施不可能である3).またこの個別訓練形式は,その対象者を受動的な姿勢にする要素を含んでおり,病院と社会との中間施設である老健施設の立場からも,自立姿勢を養っていく上で問題を有している.このことからも,老健施設は治療場面である病院での運動療法とは異なった独自性をもった運動療法実施の必要性があると考えられる.
以上の問題点に対して,われわれは何らかの問題解決の糸口になるのではないかと意図して,秋津鴻池病院併設の老健施設「鴻池荘」において実施してきた運動療法システムを老健施設の運動療法の在り方の1モデルとして,機会あるごとに紹介してきた4,5).しかし,その効果を明確にし,このシステムの改善を図ることはさらに重要である.今回,この運動療法システム-動作能力・訓練目的別グループ訓練の概要を簡単に紹介するとともに,その効果について調べ,若干の知見が得られたので報告する.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.