とびら
技術修得について考える
若山 佐一
1
1秋田大学医療技術短期大学部
pp.145
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103695
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16年間の毎日の臨床現場から理学療法士養成教育の場に移り,それまでの対象であった患者さんとの接触が間遠くなった.そんな折,臨床実習地訪問で学生の担当する症例の検討会で,その患者さんを評価治療する機会があり動作誘導や介助を行なった.しかし,どうも感触が違うことに気が付き,何が違うのか後でよく考えてみた.
結論としては,患者さんが動いているときの筋活動や重心の移動,不安を感じたときの表情変化や呼吸の乱れなどこれまであまり意識すること無く感知し対処していたことのなかで,一つは感知する能力が鈍くなつたのではないか,いま一つは感知したことへの反応が鈍くなっているのではないかということであつた.特に前者が鈍れば後者も影響を受けることになる.しばらくぶりのスポーツなども頭ではわかっていても身体が反応してくれず,勘を取り戻すのにしばらくその動きを繰り返す必要があることはよく経験することである.理学療法技術においても,毎日繰り返していたことを中断し間隔を空けると,技術も低下することを痛感することになつた.
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