1ページ講座 くすりの知識・6
循環器系に作用する薬・1 降圧剤
正門 由久
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1国立療養所村山病院理学診療科
pp.443
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103300
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高血圧は,原因不明の本態性高血圧と原因の明らかな二次性高血圧とに分けられるが,本態性高血圧がその90%を占める.収縮期圧が160mmHg以上か拡張期圧が95mmHg以上の場合が高血圧とされ,140/90mmHg以下が正常域で,その程度によって治療は次のようになる.
降圧療法として,まず血圧の評価(つまり治療が必要か,二次性高血圧の可能性など)の後,一般療法の開始(肥満の解消,減塩療法,運動療法,禁煙など)を経て,薬物治療の開始となることを忘れてはならない.薬物の選択についての基本は,緩徐に作用するもの,副作用の少ないものを選ぶことで,患者に投薬の意義,長期投与となることなども十分に指導しなければならない.降圧剤にはCa拮抗剤,交感神経抑制剤(α,β遮断剤など),利尿剤,ACE(Angiotensin converting enzyme)阻害剤などがあるが,患者の年齢,重症度,合併症の有無などによりいずれかのものを選択し,また併用することとなる.その使用順序はさまざまであるが,一般的には老年者に多い低レニン性の高血圧はCa拮抗剤や利尿剤がよく反応し,若年者では,高レニン性の高血圧や交感神経機能が亢進しており,ACE阻害剤やβ遮断剤によく反応するとされている.以下個々の薬剤について簡単に述べることとする.
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