とびら
理学療法士の活動の場として
林 義孝
1
1大阪大学医学部附属病院理学療法部
pp.799
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103150
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最近特に,理学療法士の活動の場として医療と福祉を包括的にとらえた,地域医療と言われる分野への積極的な参加やその志向がみられる.このこと自体は,理学療法士のより広い範囲での社会活動として奨励されてよいものである.しかし,この参加への形態については少し検討しなければならないことがあるように思う.
ひとつに,これら医療・福祉サービス体系にあって,理学療法士がもつ専門性がどの範囲まで有効に働き,他職種との役割分担をどうするのかを十分考えた上での参加が必要ではあるまいか.理学療法士が看護婦,保健婦をはじめ障害をもつ家族の教師のようにふるまい,それらの人々に理学療法技術を任そうとする傾向はないであろうか.もしそうであれば,理学療法が専門的な業務であることの理解が未だに不十分な現状で,われわれ自らが専門性を否定するという結果を招く危険がある.
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