書評
―矢谷令子(シリーズ監修)/福田恵美子(編)―「《標準作業療法学 専門分野》発達過程作業療法学」
太田 篤志
1
1姫路獨協大学作業療法学
pp.252
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102577
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本書は,作業療法専門科目を学習するための《標準作業療法学専門分野》シリーズの1冊であり,いわゆる「発達障害作業療法学」の教科書である.編者である福田恵美子先生は,長きにわたり発達障害に対する作業療法の実践および教育に携わっている第一人者である.福田先生の作業療法士として偏りのない実践スタイル,臨床実践プロセスを明確に示す態度は,このテキストにも反映されており,教育に携わる私たちが安心して使用できる教科書に仕上がっている.
“発達過程作業療法学”という本書のタイトルに戸惑ったのは,評者だけではないであろう.従来,この領域のテキストは,「発達障害作業療法学」と呼ばれているが,本書ではあえて「発達過程作業療法学」としている.編者の「序章」によれば,障害とは機能を果たさないという意味を持ち,子どもの場合,機能を果たしていく要素を目覚めさせていくことが可能との立場から,あえて「発達過程作業療法」という言葉を用いたとのことである.本書は,この福田先生の“子ども観”と,子どもの無限の可能性に挑んでいく作業療法士を育成したいという思いが随所に込められている教科書である.
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