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本号の特集テーマは「ヘルスプロモーション」である.これまで,理学療法士の職域は医療領域に偏重していたが,高齢社会や疾病構造の変化などにより保健・福祉領域にまで拡大されつつある.わが国が長年にわたり長寿社会を維持していること自体はたいへん喜ばしいことである.しかし,それと並行して健康寿命が長く保たれて国民のquality of lifeが保障される必要がある.このような課題に対して,「健康日本21」や「健康増進法」と連動して,今後ますます理学療法士の役割が国民の「ヘルスプロモーション」を支えるパワーになることが期待されている.
厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室には,国の立場から「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)と健康増進法について」と題して,今後の国民のヘルスプロモーション対策について幅広く述べていただいた.健康日本21の中核は住民に身近な市町村において住民の参加を得ながら計画を策定し,国民運動につなげていくことの重要性が強調されている.さらに,国民の自由意思と責任に基づく健康づくりへの取り組みの重要性が指摘されている.大成氏には,「運動とヘルスプロモーション─運動の功罪」と題して,健康増進の一手段としての運動・スポーツが奨励されてきたが,それらの内容によってはかえって健康の弊害になることがあることから,運動・スポーツが生体に及ぼす功罪を運動生理学的視点から述べていただいた.稲水氏には,「若年齢者のヘルスプロモーション」と題して,近年,若年齢者の体型は大きくなっているが,それに反して体力,免疫力などの低下が指摘されていることから,その実態と若年齢者のヘルスプロモーションのあり方を述べていただいた.中田氏には,「中高年齢者のヘルスプロモーション」と題して,中高年齢者の身体機能特性に加え,健康維持・増進のための適切な運動プログラムなどについて述べていただいた.半田氏他には,「地域住民を対象としたヘルスプロモーション事業―医療機関における実践例」と題して,地域住民のヘルスプロモーション事業に取り組んでいる基本方針とその具体的内容について述べていただいた.
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