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●その特徴と適応
JEWETT型体幹装具は骨盤帯から胸椎までに及び,胸腰仙椎装具(TLSO)に分類される.装具の構成は,3つのパッドと支柱よりなる.パッドの名称はその取り付け位置に由来し,胸骨パッド,背部パッド,恥骨パッドと呼ばれる.支柱は体幹外側から胸骨パッドと恥骨パッドそれぞれを結び,いわゆる“O字”状を呈している.背部パッドと前面にある支柱はバンドによって連結されている(図).
JEWETT型体幹装具のこのようなデザインは,例えば他の胸腰仙椎装具(テーラー型装具など)で用いられている体幹装具の基本構造とは随分異なるものといえる.しかし,胸骨パッド,恥骨パッドによる後方に向かう力と背部パッドによる前方に向かう力は,3点固定の原理による矯正力を生み出しており,これが本装具の一番の特徴といえる.3点固定の原理とは,一方向に働く力とそこから離れた2点の逆向きの力により固定や矯正力を得る方法である.JEWETT型体幹装具の場合,体幹前面に2点,後面に1点の力がかかることにより,脊柱を伸展させるように矯正力が働く.脊柱を過伸展させることにより期待される効果については,椎間関節をロックした状態にすること,椎体にかかる荷重を軽減すること,の2点が挙げられる.体幹装具装着の目的として,脊柱の運動制限とそれに伴う疼痛の軽減が挙げられるが,椎間関節をロックすることでこの目的が果たせる.また椎体前面の荷重軽減については高齢者に多くみられる圧迫骨折に対する非観血的な治療手段のひとつと考えることができる.このことから,JEWETT型体幹装具の適応には,胸腰椎移行部の圧迫骨折や骨粗鬆症による脊柱後彎進行の防止などが挙げられる.
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