1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?
トリガーポイント(ブロック)
肥田 朋子
1
1名古屋学院大学リハビリテーション学部理学療法学科
pp.865
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102090
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●筋・筋膜性トリガーポイント
筋・筋膜性トリガーポイント(以下,TP)とは,骨格筋内で硬いバンド様あるいは結節様に触知できる筋硬結内に存在している非常に過敏な点であり,圧痛があり,特徴的な関連痛および自律神経症状を引き起こすと定義されている1).すなわち,関連痛などが生じる引き金(トリガー)となる点(ポイント)のことである.ここでいう関連痛とは,筋などの圧迫によって圧迫部とは別の少し離れた領域に生じる痛みを指すが,Kellgren2)は,ヒトの様々な筋に高張食塩水を注入すると,注入局所以外の部位に関連痛が生じ,その部位は,注入筋によって特有のパターンを示すことを報告している.
Travellら1)は,TPの触知によって生じる関連痛の領域は,患者の疼痛や異常感覚を訴える領域に一致することを多くの臨床データから明らかにし,筋・筋膜痛症候群の診断と治療に用いた.すなわち患者の訴える痛みの発生は,必ずしもその疼痛部位局所に問題があるのではなく,疼痛部位に痛みが生じるトリガーとなるポイントが別にあり,そのTP部に原因があることを示している.そのため,筋・筋膜痛症候群を疑う場合には,筋硬結とTPの触診が重要である.硬結筋には,痛みによる筋力低下や関節可動域制限が認められ,TPの圧迫により生じる特徴的な関連痛パターンは,患者の痛みを再現する.さらにはTPの圧迫によって,異常発汗などの自律神経症状も出現する.
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