書評
―松原貴子,沖田 実,森岡 周(著)―「ペインリハビリテーション」
内山 靖
1
1名古屋大学医学部保健学科
pp.792
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102066
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「痛みへの挑戦」を著したMerzack Rは,第Ⅰ部の冒頭で“痛みは生体に対する有益な警告としての反応である”と医療者が安易にとらえることに疑問を投げかけ,“末期がんの痛みは誰に対して何の防衛反応となるのであろうか”というLeriche Rの言葉を引用し,痛みを対象者中心に様々な視点からとらえることを記している.
一昨年,厚生労働省は「慢性痛に関する検討会」を設置し,基礎医学,薬理学,麻酔科,産科・婦人科,神経内科,整形外科,膠原病,精神神経科,理学療法,看護を専門とする専門職に加えて,市民代表者を交えて集学的・全人的な議論を展開した.これまで,健康局疾病対策課では,“○○病に対する検討会”は数多く実施されていたが,症状を正面から扱うことは初めての試みであった.委員として参加した評者に対して,慢性痛に対する理学療法の役割として,①動作に対するアセスメント,②治療としての物理・運動療法,③行動変容と就労支援に対するリハビリテーションという役割が示された.このように,疼痛に対する理学療法へは大きな期待が寄せられ,その学問的・社会的な責任は大きい.
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