特集 これからの理学療法
これからの理学療法士に期待する領域と能力―整形外科領域から
中村 耕三
1
Kozo Nakamura
1
1東京大学医学部整形外科学教室
キーワード:
長寿社会
,
運動器障害
,
自立生活
Keyword:
長寿社会
,
運動器障害
,
自立生活
pp.21
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101563
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●長寿社会における運動器障害の現状
日本では,要介護や寝たきりになる人が急速に増えています.介護が必要となった人はこの6年間で約2倍になりました.要介護や寝たきりになる主な原因として「脳卒中」や「認知症」とともに,「関節の痛み」や転倒による「骨折」など「運動器」の障害が重要です.最近の報告では,約5人に1人は運動器の障害がその原因となっています.
現在,骨や関節などの運動器に関する疫学研究が進んでいます.X線画像上で2度以上の変形性関節症の所見のある人は,全国で膝で約2,530万人,腰で約3,790万人おられると推計されています.また,骨塩定量法(DEXA)で骨粗鬆症に該当する人は,大腿骨頸部で約1,070万人,腰椎で約640万人おられます.これら変形性膝関節症,変形性腰椎症,骨粗鬆症のうち1つでも該当する人は,全国で約4,700万人と推計されています.さらに,これらの状態を2つ以上併せもっている人は2,470万人,3つとも該当する人は540万人と推計されており,運動器の障害は多いこと,そして1人で2つ以上の障害をもつ人が多いことが明らかになっています.
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