特集 これからの理学療法
これからの理学療法士に必要な領域と能力―専門性確立とスポーツ支援
内匠 正武
1
Masatake Takumi
1
1特定医療法人菊野会菊野病院
キーワード:
基礎学に基づく理学療法
,
障害予防
,
社会貢献
Keyword:
基礎学に基づく理学療法
,
障害予防
,
社会貢献
pp.20
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101562
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- 文献概要
●専門性の確立と専門職としての心構え
臨床において,理学療法(士)に求められることは,一番に知識と技術の向上である.このことは誰でも理解していることだと思っている.しかし,現状では,専門職としてその専門性をしっかり確立できているか疑問が残る.その原因として,教育カリキュラムや履修体系を含めた問題も大きいが,制度面および業務内容などの矛盾,リハビリテーションの歴史(生まれてきた社会的背景や流れ)などを十分踏まえていないことも挙げられる.また,「人」の心身の状態に対する基本的な考え方や感性を磨こうとする本人の姿勢,能力が非常に低いことも一因と思われる.
私は,理学療法士は自然科学を基本とし,セラピーを組み立て,実施する専門職だと考えている.そのなかで,内部系,骨筋関節系,脳神経系など,すべての器官がどのような経過をたどって発達・発育し,機能してくるのか,今の自分の体型や機能がどのように動作を組み立てているのかを知ろうと努め,探究心をもつべきである.教育の場でもその足がかりが得られるよう指導すべきだと感じている.これらのことを前提に,臨床実習指導でも発生学や発達学などの基礎学に基づく理学療法を立案,実施していく指導が必要と思われる.
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