特集 老化による身体機能低下と理学療法
高齢者の運動機能(健康増進)と理学療法
村永 信吾
1
,
平野 清孝
1
,
田代 尚範
1
Muranaga Shingo
1
1亀田メディカルセンター
pp.861-868
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101501
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はじめに
日本の高齢化は世界に類をみない速さで進み,今や平均寿命,健康寿命(自立した生活期間)ともに世界最高水準となった.しかし,その一方で要介護認定者も大幅に増加し,特に要支援および要介護1といった比較的軽度な者が増加している(図1).
要介護となった原因としては,脳血管疾患,衰弱,転倒・骨折,認知症,関節疾患などが挙げられる.これらの原因を要介護度別にみると,重度者(要介護度4・5)では脳血管疾患や認知症が多く,軽度者(要支援・要介護1)では,衰弱,転倒・骨折および関節疾患といった運動器の廃用をベースとした廃用症候群が増加している.また,年齢階級別でみると,前期高齢者(75歳未満)では脳血管疾患が多く,後期高齢者(75歳以上)では廃用症候群が多くなっている.さらに85歳以上では廃用症候群が50%近くを占める.これらのことから,今後予想される高齢者人口の増加においては,「廃用症候群をいかに食い止め,健康寿命の延伸に貢献するか」が重要な課題となる.
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