特集 不全型脊髄損傷の病態と理学療法
不全型脊髄損傷の特徴と理学療法
武田 正則
1
,
出口 貴行
1
Takeda Masanori
1
1吉備高原医療リハビリテーションセンター
pp.195-202
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101367
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はじめに
われわれ理学療法士は,脊髄損傷と聞けば完全型損傷(以下,完全損傷)者のイメージを持ちやすく,テキストなどにおいても,完全損傷を中心とした理学療法アプローチが紹介されている.したがって,あまり臨床で脊髄損傷の患者を受け持った経験がない理学療法士の中には,不全型損傷(以下,不全損傷)は理学療法アプローチが難しいと感じている人も少なくないであろう.従来,脊髄損傷は年齢別発生数のピークが20歳代前後と50歳代の二峰性を示しているといわれてきたが,近年の脊髄損傷の発生状況をみると,不全損傷が増加傾向にあり,受症時年齢も高齢化してきている1,2).また,不全損傷は,症例により病態や麻痺の状態がかなり異なることと,心理的にも完全損傷とは異なる場合が多いことも理学療法アプローチを難しくしている要因であると考えられる.本稿では,不全損傷の特徴と最近の臨床的な傾向,理学療法アプローチを中心に述べる.
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