特集 がん治療における理学療法の可能性と課題
がん患者は理学療法を必要としているのか?
高田 由香
1
Takada Yuka
1
1静岡県立静岡がんセンターよろず相談
pp.941-944
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101290
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はじめに
近年,がんの罹患率は3人に1人といわれているが,いまだに多くの人が「死と向き合う病気」というイメージを抱いている.ましてや告知を受けた患者・家族は,必ずといってよいほど「死」を意識したという.当事者にとって「告知」を乗り越えるということは,「死」のイメージを払拭し,前に歩み始めることを意味しているのであろう.
がんを取り巻く法的整備の推進力となり,一般の人々の認識を変えるきっかけとなったのは,2005年5月に大阪で行われた第1回「がん患者大集会」ではなかったかと思う.当事者の思いが行動となり,それが1つの声として集約されたことで,世論を動かし大きな流れを生むきっかけになった.
2006年6月には「がん対策基本法」が制定され,2007年4月から施行された.また,2007年6月には「がん対策推進基本計画」が策定された.その中には取り組むべき施策の1つとして,「がん患者は病状の進行により,日常生活動作に次第に障害を来し,著しく生活の質が悪化するということがしばしば見られることから,療養生活の質の維持向上を目的として,運動機能の改善や生活機能の低下予防に資するよう,がん患者に対するリハビリテーション等について積極的に取り組んでいく」ことが挙げられている.
本稿では,日々がん患者・家族の様々な相談に対応している立場から,リハビリテーション(以下,リハビリ),特に理学療法をがん患者・家族が必要としているのか,という観点で述べる.
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