なぜ学ぶのか・6
薬理学―なぜ理学療法士に薬の知識が必要なのか?
保坂 公平
1
Hosaka Kohei
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.799-802
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101258
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薬の歴史
現代医学における治療手段の主役は薬物治療ですが,薬(薬物)はいつ頃から使われ始めたのでしょうか?
氷河期の終わり頃には,人類が他の動物との戦いに勝って地球上の支配者になりました.最初の問題は食べ物を確保することでしたが,彼らは工夫して動物の家畜化や,植物を栽培することにより安定した食料の確保を可能にしました.そのうち食物にならない草や木の根も利用するようになりました.例えばタンニンを含む木の実は下痢止めになりました.一方,下痢を起こす植物は便秘を治すのに使えます.猛毒を含む植物により死に至ったこともあったでしょう.しかし犠牲を払いながらも,役に立ち,薬となる多くの植物を発見しました.同様の試行錯誤から動物や鉱物由来の薬物も手に入れたはずです1).
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