とびら
患者さんから学ぶことの大切さ
高村 浩司
1
1甲府城南病院
pp.547
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101207
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日常業務の中で,患者さんの診療に携わっていると様々な疑問を持つ.その多くは患者さんの個別性についてである.臨床家として20年余り,中枢神経疾患を有する患者さんに接していると,性別,年齢とも同様で,脳のほぼ同一部位かつ損傷範囲も類似している患者さんに出会う機会も少なくない.しかし,その患者さんたちの回復過程はそれぞれに異なり,1人として同じ経過をたどる人はいないということである.
患者さんは時として,セラピストの想像を大きく超えて驚くほどの潜在能力を発揮する場合もあれば,「このぐらいはできそうだ」と思っていた些細な動作に四苦八苦してしまうこともある.その違いは,杖や装具のあるなしで立位,歩行が獲得できるようになるなどの,具体的な機能の差として表れることもあれば,麻痺側の手や足の向き,指の曲がり具合というように,用心深く観察しなければわからないものまで様々である.
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