理学療法臨床のコツ・14
住宅改修アドバイスのコツ―浴室
五十嵐 進
1
Susumu Igarashi
1
1白根大通病院リハビリテーション科
pp.146-148
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101875
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はじめに
高齢者や障害者の退院時,病院スタッフの協力を得て住宅改修や住環境整備が行われる.介護保険制度を利用する際,介護支援専門員(ケアマネージャ)と利用者,家族,建築士(工務店)など多職種による総合的な調整を図り,どこに問題があり,どう改修すればどのような移動や動作ができるか,などと検討することは重要である.しかし,自宅に戻ってしばらく生活すると,暮らしやすくするために行った住宅改修が生活に合わなくなることもよくある.リハビリテーション(以下,リハ)室あるいは病室で行う状況から考えられる日常的な活動が,必ずしも在宅で再現できるとは限らないからだ.予想を超えて良くなる場合もあるが,同様に悪化することもある.退院時,家族や本人はかなり神経を使っており,普通は現状を理解することが精一杯で,今後の生活のことを考える余裕などない.高齢者などは病院での条件より少しでも悪くなると恐怖や諦めのほうが先立つ場合が多いのではないか.また,病院だから頑張れるという場合もあったのではないだろうか.
ケアマネージャ研修会のアンケートでは,「回復期リハが終了したら,訪問リハで実用的な動作の自信をつけてもらうことを,改修工事と合わせると有効的になると思う.」「病院の理学療法士・作業療法士の方々が自宅へ訪問し,1,2度動作確認して改修工事の指示をしても,毎日の動作となると微妙なずれが生じると思う.」「その微妙なずれをケアマネージャが予測できるかは受け持った期間にもより,退院時に初めて担当したような場合は難しいのではないか.」というような意見があった.どんな暮らしがしたいか,少し時間をかけて見守っていくことも大切なようだ.
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