特集 「注意」の障害に対する理学療法
左側無視における「注意」の障害に対する理学療法
宮嶋 武
1
,
大谷 武司
1
,
三沢 孝介
1
,
植西 一弘
1
,
北條 貴士
1
,
蒲原 幸子
1
,
室賀 一慶
1
,
古川 智巳
1
Miyajima Takeshi
1
1豊科赤十字病院リハビリテーション科
pp.1049-1052
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100931
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従来,半側空間無視を有する患者に対して,認知できない空間の改善や麻痺側方向への重心移動を目的に理学療法(以下PT)を施行する傾向にあった1).しかし,当院においては,1980年代後半から提唱されてきた早期起座・起立練習をPTプログラムの中に取り入れ2),残存している機能や空間を利用し,非麻痺側よりアプローチを行い,まず,基本動作を確立させ,その後徐々に活動空間を拡大させるPTを施行(早期PT)している.その過程で,机上のテスト結果では重度な半側空間無視を示しているにもかかわらず歩行可能になる症例や半側空間無視患者の特徴のひとつとして考えられている押す人症候群に陥らない症例などを経験する.その一方で,歩行は可能になるが,道順を覚えられず活動範囲を拡大することができない症例や通常と異なる新しい生活環境に遭遇すると現地点の把握ができず混乱に陥る症例なども観察され,歩行の実用化に関する問題点も浮上してきている.
歩行の実用化を含めた実生活環境下の適応に起案する問題は,今後早期PTが施行されるに従い強調される問題点であると推測される.それに伴い,半側空間無視患者のプログラムを日常生活の実用化の視点から再検討する必要性もある.そこで今回,早期PTプログラムを施行し,重度な半側空間無視を有しているが歩行可能になった患者の症例から半側空間無視の回復過程の特徴をまとめるとともに歩行の実用化の問題点について検討したので報告する.
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