特集 「注意」の障害に対する理学療法
左側無視における「注意」の障害に対する理学療法
落合 久幸
1,2
,
佐藤 みゆき
1
,
堀口 布美子
1
,
内山 靖
2
Ochiai Hisayuki
1,2
1財団法人老年病研究所附属病院
2群馬大学大学院医学系研究科基礎理学療法学
pp.1053-1057
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100932
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脳損傷により半側無視(hemi-neglect,hemi-inattention)1)の現象を呈している片麻痺患者では,頭頸部や体幹の位置が一側へ回旋し上肢の動作によってさらに回旋や偏倚が増強することがある.このため座位や立位でのバランスを崩しやすく2)転倒などの危険性が生じることがある.また,顔や視線を合わせていても,別の場所から聞こえてくる声や音の方向に過剰に反応し,姿勢が変化するとともに,その後の会話や動作に対する“注意”が途切れてしまう場合がある.
「注意」とは,空間の一定方向への偏倚を持つと考えられている方向性注意と意識水準を一定に保つ汎性注意とが考えられている3).右大脳半球損傷後に生じる左側無視は,病態の複雑さから種々の説があるが,これまで上記前者による「方向性」を問題4)とする注意の障害として捉えられていることが多い.左側無視の介入には,左側へ注意喚起を促すことが様々な手法を通して試みられている.しかし,左側への誘導が困難であったり,誘導が可能であってもその後の注意の持続が困難なために動作や行為が連続的に遂行できない場合も少なくない.
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