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国際生活機能分類(以下,ICF)によると,活動とは「課題や行為の個人による遂行である」と定義づけられる1).ICFの生活機能構造モデルでは,活動は心身機能構造や参加,環境因子と相互作用であり,各々がリンクする構造となっている.急性期における脳血管障害患者をモデルとすると,臨床場面で捉える活動とは表1のように考えることができる.特に発症から1か月以内において短期の目標をあげる場合は,心身機能構造や活動の評価から問題点を明確にすることが求められる.本稿は急性期の視点から,脳血管障害患者の活動と心身機能構造の関連性,また,活動水準を決定するための考え方について述べる.
活動水準を決定するための考え方
【急性期脳血管障害患者の活動水準と評価】
1.病棟場面
急性期脳血管障害患者の活動は,発症直後の脳浮腫や脳血流の問題あるいは合併症により動作を制限(=活動を制限)され,医師の判断により患者の活動水準が決まることが多い.最近では,発症直後からの座位・起立練習が積極的に開始されるようになり2),二次的合併症である廃用症候群への対応と合わせて理学療法士が介入している.しかし,この場面での起立練習は意識障害や運動麻痺により介助量が多い患者や重篤な合併症でリスク管理をしなければならない患者が多いため,活動水準を高めることは困難である.そのためこの時期は,病棟でのADL場面を意識し,ベッド上でのいざりや寝返り,起き上がり,移乗動作を練習することでその能力を早期に獲得することが必要である.また,理学療法士は,看護師にその能力・介助方法を指導することで,理学療法時間以外での活動を考慮した計画を立案しなければならない.例えば,医師から患者の動作制限が解除された際の車いすへの移乗動作を例に挙げると,患者の運動麻痺や高次脳機能,感覚などの心身機能構造を評価し,把握できていれば,介助の方法を安易に選択することが可能になる.しかし,その評価が適切に行われておらず,看護師に指導ができていなければ,1日における車いす座位が減り,それによる移乗動作を行う機会も逸してしまうことになる.当院では,脳血管障害患者について,心身機能構造,起居動作能力,ADL能力(Barthel index)を経時的に評価している.これらの評価項目は理学療法士間で一致しているかどうかを検討したものである3).急性期の脳血管障害患者の能力は変動しやすく,患者の最大限の能力を決定づけるためにも経時的に評価することは必要である.また,そうすることで理学療法士側でも動作能力の再確認の意識が高まり,病棟ADLに結びつけることに役立っている.
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