入門講座 スポーツ理学療法 ➋
膝,足関節傷害に対するスポーツ理学療法
淵岡 聡
1
,
小柳 磨毅
2
Fuchioka Satoshi
1
1大阪府立看護大学総合リハビリテーション学部 理学療法学専攻
2四条畷学園短期大学リハビリテーション学科 理学療法専攻
pp.131-141
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100426
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膝関節と足関節はスポーツ傷害の発生頻度が高い.ここでは,球技スポーツに多い半月板損傷や内側側副靱帯損傷と足関節捻挫に対する理学療法を中心に述べる.
膝関節の外傷
1.膝関節の外傷について
1)半月板損傷
半月板損傷は膝関節周囲のスポーツ外傷の中でも頻度が高く,靱帯損傷を伴わない単独損傷例と,靱帯損傷合併例に分類される.単独損傷例では膝を大きく捻るなどの外傷歴がある場合と,明らかな外傷の既往なく症状が出現する場合がある1).靱帯損傷合併例では靱帯に対する治療に負うところが大きいため2),ここでは単独損傷例の保存療法について述べる.
半月板損傷で保存療法が選択されるのは,半月縫合術の適応がない場合にほぼ限定される.この場合でも,運動時痛や膝くずれ現象,可動域制限,腫脹,嵌頓などの症状が数か月持続すれば切除術が行われることが多い.過去には半月板の自然治癒はほとんど期待できないとされていたが,近年では外縁部に毛細血管による血流が確認され,わずかながら同部の自然治癒能力が期待されている.
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