特集 心臓外科治療の進歩と理学療法
心臓血管外科治療の進歩と心臓リハビリテーション
金子 達夫
1
,
高橋 哲也
2
Kaneko Tatsuo
1
1群馬県立心臓血管センター心臓血管外科
2群馬県立心臓血管センターリハビリテーション課
pp.751-760
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100161
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低侵襲化手術や新しい機器の開発により,心臓外科治療は著しい進歩を遂げている.本稿では心臓外科治療の現状を概観し,患者の高齢化や早期離床を考慮した手術後のリハビリテーション(以下,リハビリ),理学療法のあり方を考える.
冠状動脈バイパス術(CABG)
1.CABG
狭心症や心筋梗塞などの虚血性疾患に対するバイパス手術は,1968年から始められた.グラフト材料として当初は下肢の大伏在静脈(SVG)が多用された.しかし経年的にグラフトの劣化が観察され,10年後には約半数が閉塞を来し,壁の肥厚や狭窄が見られた.これに対して左内胸動脈(LITA)は,10年後も約80%が開存して良好な性状が報告された1).これにより動脈グラフトが多用されるようになったが,グラフト材料としては左右の内胸動脈(ITA),胃大網動脈(GEA),上肢の橈骨動脈(RA)しか利用できないため数と長さに制限がある.以前は大腿動脈およびその枝や下腹壁動脈などが用いられたこともあったが,開存性や採取などの点から現在ではほとんど用いられていない.
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