今月の表紙
唾液腺の粘表皮癌細胞
都竹 正文
1
,
古田 則行
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.671
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906578
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唾液腺腫瘍のうち,最も発生頻度の高い部位は耳下腺であり,全体の約85%を占める.次いで顎下腺と小唾液腺がそれぞれ7〜8%である.舌下腺発生は極めて少ない.
全唾液腺腫瘍の70〜80%は良性の多形腺腫である.悪性腫瘍は約20%で,発生部位は耳下腺が最も多い.唾液腺悪性腫瘍は頭頸部癌取扱い規約の組織分類によると,腺様嚢胞癌(adenoidcystic carcinoma),粘表皮癌(mucoepidermoid carcinoma),腺癌(adenocarcinoma),扁平上皮癌(squamous cell carcinoma),腺扁平上皮癌(adenosqamous carcinoma),未分化癌(undifferentiated carcinoma),腺房細胞癌(acinic cell carcinoma),多形腺腫内癌(悪性混合腫瘍)〔carcinoma in pleomorphic adenoma(malignant mixed tumor)〕に分類されている.そのうち,粘表皮癌,腺房細胞癌は,細胞異型も癌としての生物学的性状も軽度なもの(局所浸潤性はみられるが,転移が少ない)が含まれることから,低悪性群(中間群)として取り扱われ,名称もそれぞれ粘表皮腫瘍,腺房細胞腫瘍として用いることがある.
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